バドミントンクラブ・サークルの運営を安定させたい。
そんなときには、参加費をひと月単位で回収する「月額費制」を検討してみましょう。
この記事では、導入する際の費用の決め方・メリット・デメリット。
最後に、筆者が最初に導入した際の失敗談を紹介します。
月額費制とは?
バドミントンの活動をし、チームメイトから参加費を回収するとき、活動毎に参加費を回収するのではなく、1か月に1回決められた金額を回収する仕組みのことを言います。
驚愕!?1回500円の参加費のサークルは、1人あたり600円/月を回収すれば6回/月も活動できる。
1回500円なのに、月600円!?
そんなことできるん??
計算するとできることがわかるよ!
でもこの場合は「60人以上が所属しているクラブ」っていう条件が付くんだ。
月額費制の計算の仕方
1回あたりの活動費用は決まっています。
1回の活動の費用の内訳は、「体育館代」と「シャトル代」です。
- 3コートの体育館
- シングルスではなくダブルスを行う。
- 体育館の費用は¥2,000/3h
- シャトルはAEROSENSA500で1ダース¥3,000
- 1つのシャトルの消費時間は25分
- ダブルスの時間は120分(※準備・片付け・インターバル・基礎打ちは別途、活動総時間は3時間を想定)
以上の条件で、参加人数ごとの活動費用の合計を棒グラフとすると、
こうなります。
この場合では、
最低参加人数:12人
1回の参加費:500円
でサークル運営ができます。
詳しくは、下のページを確認してみてください。
1回の活動に必要な費用は人数で変わるやん?
そうだね!
でも12人。コートが埋まってからは変わらないんだよ。
ほんとや!
じゃあ1回の活動は¥5,750以上にはならないんやね!
1か月に必要な金額を計算。
1回の活動費用:最大で¥5,750
月の活動回数:6回
単純にこの掛け算が、サークルの「1か月の活動に必要な金額」になります。
計算してみましょう。
ペツコ、ここまではOK?
よゆうよゆう♪よゆうやよ♬
1人あたりの活動費用を計算。
サークルの「1か月の活動に必要な金額」を「所属人数」で割り算すれば、1人あたりいくら支払いが必要になるのか計算ができます。
所属人数は60人と設定してみましょう。
すると、
1か月1人あたり600円になったでしょ?
なった。。。。
なんかダマされとる気がする。。。
予算を決めて活動をしているから無駄が発生しない。
月額費
月額費は1か月に1回決められた金額を回収する仕組みです。
チームメイトが参加するorしないに関わらず、回収できる金額が決まってます。
これが、1か月の活動予算です。
多めに金額を回収する必要がなく、予算の中で最適なスケジュールを組むことができます。
活動ごとの参加費
活動ごとに参加費を回収する仕組みの場合は、
チームメイトが参加しないと、活動費が回収できません。
参加人数によって回収できる金額が変わってしまうため
赤字にならないように多めに費用を回収する必要があるのです。
スポーツジムなどではスタンダードな仕組み
スポーツジムなどは、だいたい月1万円前後で参加し放題の相場観です。25日通ったって、かまいません。
一方で都度会員は1回あたり¥3,000~¥4,000くらいと高額になるでしょう。
支払いをしてくれるか分からない人に対しては、「電気・水道・空調や人件費・設備投資・メンテナンスなどの費用」を投資して赤字になるリスクを背負うことができないからです。
月額費制のメリット・デメリット
ここまでは、月額費制のメリットを中心に書いてきましたが、デメリットも多くあります。
一覧にして見極めていきましょう。
※都度参加費を回収する制度と比較した場合の、メリット・デメリットを示します。
メリット
- 参加人数が少なくても活動が中止にならない。
- きちんと計算すれば理論上、絶対に赤字にならない。
- 規模が大きい団体だと、マスメリットがでて、1人あたりの費用を抑えられる。
- いわゆる幽霊部員という、所属しているだけの部員が少なくなるため参加率が上がる。
- 部員の立場からすると、堂々と休める。
- 運営の立場からすると、参加人数の増減で一喜一憂しなくなる。
メリットだけ並べてしまうと、良いことが多いように見えてしまいます。
デメリット
デメリットは少し詳しく記載します。
人数が少ないとメリットがでない。
仲の良い4人が集まって、バドミントンサークルを結成したとします。
月額費制が良いなと思って、¥1,000/月としても、1回しか活動ができません。
月額費のコストのメリットが生まれているのは、大人数で割り算しているからなので
まず先にサークルやクラブの規模を大きくする必要があります。
新規メンバーが集まりにくい?
筆者が運営しているサークルは、2017年1月に、
600円/回から1000円/月に料金を変更しました。
筆者のサークルの実績からお話すると、料金制度の変更を境に2割~3割程度、応募数が減りました。
2016年が「リオオリンピックが理由の特需だった」可能性もあり原因の切り分けは難しいですが、事実として減りました。
考えられる理由は2つです。
- 月に1回以下の参加予定だった層に応募してもらえなくなった。
- 参加をしないのに料金を払うことに納得してもらえない。
❶の対象の方に対しては、当時のしろくまクラブの料金制度変更は単純な値上げになります。
❷に関しては、まだ根強く残っている考えだそうです。
「参加する権利にお金を支払う」という考えを理解してもらう必要があります。
しかし、
参加意欲の高い人のみが応募してきてくれる
とも言えるので、メリットと表裏になっています。
所属の人数管理&体育館の確保のハードルが上がる。
もし月に1000円支払っているのに、活動日程が発表された瞬間に、満員になってしまったら。
不満に思うメンバーも現れてきます。
所属人数が多すぎて、「事実上、参加ができない」状況は避けるべきでしょう。
※参加申請が平等にできる状況であれば、申請が極端に遅くて参加できないのは、問題ないでしょう。
もし月に1000円支払っているのに、活動日がなかったら。。。
これはサークル運営、詐欺ですよと言われてしまいます。。。
十分な活動場所を確保することが必要になります。
メンバー数と練習会場数の決め方
ここから、計算が始まり、ちょっと眠くなります!がんばりましょう!
計算(眠い人は飛ばそう)
月額費制度に変更する前に、参加率を把握します。
所属人数が50人、一か月の延べ参加人数が100人であれば、
100÷50=2
1人あたり、2回/月に参加していることになります。]
定員は1コートあたり8人がベーシックな考え方かと思います。
※2回に1度はコートに入れるため
一ヵ月に延べ100人以上参加ができればよいので、
100人÷8名=12.5
一ヵ月に12.5コート確保が必要です。
一ヵ月に12.5コート確保するために、3コートの体育館であれば
5回の活動を実施すればよいです。
1回の活動費用が¥5,750であれば、
¥5,750×5回÷50人=575円
575円/月回収すれば、運営できます。
50人ぴったりで計算しているので、1人でもサークルを退会してしまうと赤字になってしまいます。
575円ではなく、余裕を持ちましょう。
そもそも1回500円の参加費で、平均2回/月の参加率ですので、
600円~1000円(500×2)の間であれば、不満は起きにくいでしょう。
ここでは125円余裕を持って「700円」とします。
125円×50人で6000円の余裕が生まれます。
¥5,750×5回=¥28,750が月に必要な活動費です。
赤字になる人数は、
¥28,750÷700円=41.07人となります。
最低42人はメンバーを確保しましょう。
最低人数は活動費の金額で決まります。
メンバーが増えると、回収できるお金も増えるので、最大定員を決めるのは、
確保できる体育館のコート数です。
3コートの活動で6回/月は活動ができるなら、
取得できるコート数は、18コート(3×6回)です。
1コート8人を定員とするなら、一か月に収容できる延べ人数は
8人×18コート=144人です。
参加率は2回/月ですので
144人÷2回=72人
72人がクラブ・サークルの定員となります。
最高人数はどれだけコートが予約できるかで決まります。
けいさん、めんどくさい
最初はめんどくさいよね。。。
でも1回計算してしまえば、こんなシンプルになるんだよ!
メンバーが支払う金額
月額費 700円
運営が気にすること
チーム人数42人~72人
6回/月以上活動する。
ほんとや
しかもこれは3コートの体育館の場合。
コート数の多い体育館を利用できれば、運営の負担も下げてくれるんだ。
これを守れば、赤字にならない&不満の少ない、安定した運営ができます。チームの最低人数が多すぎる場合は、月額費を少し上げて調整しましょう!
これすごいやん!!
ぺつこは4回参加する。
1回200円以下で済むんやろ?
そうなんだけど、、、
実は昔、事件が起きてしまったんだ。
詳しくは次のコーナーで。
しくじり先生”月額制の最大のデメリット”
筆者のサークルでは2017年1月~5月の
5ヵ月間、1,000円/月の月額費制を採用しました。
月の活動回数は6回以上。
当時1コマ6,000円から9,000円の体育館を3回以上利用し、
あり得ないレベルの安さを実現し運営を開始しました。
赤字転落
2017年5月末の会計報告で、「5ヵ月合計で8,000円の赤字になりました」
とチームメイトに報告することになりました。
1か月間だけ都度参加費を回収する形に戻して赤字を補いました。
絶対に赤字にならない月額費制が、赤字になってしまうとは、どういうことなのでしょうか。
予定どおり上手くいったこと
たくさんの人が参加してくれましたし、
予算が決まってるから、余っていても仕方がないので、
どんどん投資をしていきました。
具体的には、YONEXのシャトルを全種類や他社のシャトルも購入したり、
予算の範囲内で、色んなシャトルを買って研究をしていきました。
チームメイトが欲しいものも買ったりしていました。
忙しかったけど、みんな沢山参加してくれるし、
始まって3か月くらいは、とても楽しく充実していました!!
赤字の原因は、費用の回収方法を深く検討していなかったこと。
費用の回収を甘く見ていた。
費用の回収のルールは以下にしていました。
- 基本的に活動に参加して、お支払いください。
- 参加ができない場合は、銀行振り込みも対応します。
- 3か月分先までお支払い可能ですが、その月の費用は月末までにお支払いください。
でもチームメイトから、こんな問い合わせが来ました。
今月、参加できそうにないので、来月にお支払いでもいいですか?
いいよ!来月来た時に支払ってね!
一ヵ月後
今月も、参加できません!来月、必ずお支払いします。
わかった!振込みもあるから検討してね!
また一ヵ月後
お、オオカミ君
参加になってるな!大丈夫そうだな!
練習直前
急用ができました!今日の練習をキャンセルさせてください。
了解!
オオカミ君、そろそろお金支払ってもらわないとマズいな!
振込して連絡してね!
わかりました。
また一ヵ月後
オオカミ君、費用の件どうなった?!
返信なし・・・・
オオカミ君の立場になって考えてみると、
おそらく、最初の数ヵ月はちゃんと支払おうと思っていたんだと思います。
しかし、4ヵ月目に達すると、
なんで1度も参加していないのに、4,000円も支払わないといけないんだ!?。。。逃げよう。
この時は4人のオオカミ君が現れてしまい、赤字になってしまいました。
先ほど新規メンバー募集があつまりにくい?の項目で説明した、
「参加をしないのに料金を払うことに納得してもらえない。」は、加入前だけの話ではなく、
加入後でも、滞納が続き金額が大きくなることで、納得できなくなってしまうようです。
こうすれば良かった。
- 受け取り済の金額の中で運営を行えば良かった。
- 当時は普及していなかったのですが、電子マネーを利用して、期限内に支払ってもらわないといけなかった。
- もう少し余裕を持った価格設定にすればよかった。
がんばったのに赤字になっちゃったのは辛かったなぁ
ぺつかず…
でも、こうゆう経験があって、改善して、どんどんチームが良くなっていくんだよ♬
めんどくさがらず電子化を!
その後、電子化のツールが誕生し、筆者は真っ先に採用しました。結果として滞納が続き金額が大きくなるということがないので、メンバー皆を幸せにしました。
まとめ
月額費制は「予算を決めて活動できる」ことで無駄の削減や安定した運営が可能です。
「チームメイト」「運営する側」双方にメリットがありますが、しっかりと費用を回収できる仕組みを構築する必要があり、電子化は現代では必須でしょう。
長い間、繁盛して継続できているバドミントンサークルはいろんな形で、月額制(少なくとも定額制)を取り入れている場合が多いです。
もし今、信頼できるチームメイトが集まっているのであれば、検討してみてはいかがでしょうか。