この記事を読まれている方は、サークル運営を頑張っている方が多いのではないでしょうか。そんな人が陥りやすい失敗を、この記事を読むことで防ぐことができるでしょう。
良いモノが売れるのではない、売れたモノが良いモノだ
社会人の方であれば、タイトルの言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
よく聞くんやけど、正直意味がわからんの
高品質であっても市場に受け入れられなければ成功とは言えない、逆に、市場で大きな売上を上げたものは、それだけで消費者にとって良いものと評価されるという意味です。
実は結構納得できない!っていう人も多いんだ。そんな記事がネット上にも溢れているよ。
しかし筆者は「この言葉の神髄を早く知りたかった。色々なモノゴトに応用が利く言葉」だと心から思っています。当然、サークル運営にも!
いい音楽ってなに?
筆者はバドミントンを始める前はバンドマンで、ボーカルを担当していました。ギター、ベース、ドラムのパートも自分で作るほど音楽に熱中していました。真剣に取り組み、自分の曲でご飯も食べていければいいなと思っていたほどです。
ぺつかずにそんな時代が…
大勢の前で物怖じしないメンタルや、人並外れた声量はバドミントンサークルでも生かされているよ。
歳月が経った今、筆者は音楽で生計を立てていません。
当時ファンのみんなに書いていたブログの文面を紹介します。
これからも自分が良いと思う曲を作っていく!それが皆にも良いと思ってもらえたら嬉しい!
ぺつかずが言っとると思うと気持ち悪いけど、アーティストとしては普通な気がする
当時の筆者は、お客に媚びた曲や売れ線の曲を作ることがダサいとさえ思っていました。
時が流れ、
筆者が良いと思って作った曲は、現在ほとんどの人に聞いてもらえず歹匕んでいます。
いい製品ってなに?
その後、筆者はエンジニアとして有名な大企業のメーカーに就職しました。技術力が売りで、世界初の製品を次々に発売する会社でしたが、売り方が下手だとも言われていました。
値は多少張りますが、製品機能はピカイチで、販売営業の人達は他社製品を軽視するほどでした。
ここのメーカーは結構コアなファンがおったんです(過去形)
筆者も世界初の製品開発に携わったんですが、その製品の販売は振るわず、会社も数年後に上場廃止となってしまいました。
売れたものが、いい製品になる
筆者はその後、製品分野の異なる別のメーカーに転職します。そのメーカーは製品の世界シェアが1位、世界屈指の企業です。
一方で一部ユーザーからは「機能の出し惜しみ」を批判されていました。
アンチもそこそこ居るんです
筆者はそのメーカーで、量産数量の多い製品の開発を携わりました。
「ターゲット層に必要ない機能は搭載しない」という割り切りが新鮮でした。それだけ安価に作れますし、複雑な機能が必要ないユーザーにとって、シンプルさが魅力的に映ることもあるのです。
想定どおりその製品はとても良く売れ、ミリオンセラーとなりました。
知り合いが購入してくれて「この●●!とっても良いよ!」と言ってもらう機会も増えました。
すべての製品の機能を知っている私にとって担当製品は、決して良い商品ではありませんでしたが「良い」と言ってもらえたんです。
聴いてもらって、買ってもらって、ようやく息をする
エンジニアでありアーティスト気質の筆者は、より高機能な製品が良い製品だと感じがちでしたが、使ってもらえなければ、待っているのは「製品の歹匕」でした。
音楽であれば聴いてもらって、製品であれば使ってもらって、はじめて目的を達成でき、「良い」という評価にたどり着くことに気が付きました。
この経験から筆者は、
良いモノが売れるのではない、売れたモノが良いモノだ
という言葉の意味と重みをしっかりと認識することになりました。
自己満足な運営者は結構多い
ようやくバドミントンサークルの話が始まります
この言葉をサークルやコミュニティに置き換えると、
良いコミュニティが売れるのではない、売れたコミュニティが良いコミュニティだ
このままだと「売れる」という言葉が良くわかりませんね。コミュニティにとって「売れる」は「人が集まっている状態」なので、
良いコミュニティに人が集まるのではない、人が集まるコミュニティが良いコミュニティだ
になります。
違和感ある?
前談がなければ、違和感だらけやったけど、何となく分かるようになった。
残念ながら
良いコミュニティを目指しながらも、人を集めることに関心が低い運営者はとても多いです。
バンドマンとして「良い曲を作ることを目指すが、売れることにはこだわらなかった」筆者の思考と同じです。
どんなに良いコミュニティでも、人が居ないコニュニティは歹匕んでいる。
選択に迷ったら〇〇しよう
筆者はサークル運営で、何か選択に迷ったときは、
その選択の結果、参加希望者が増えるのか否かで判断します。
「参加希望者が増えないのであれば、それは行わなくて良い」
しかしこの考え方は理解され難く、実際に以下のような言葉を返されたことがあります。
- 参加者が満足できるようにすることの方が大事だと思う。
- ホームページに力を入れて、それが良いサークルですか?
①はお客様目線という同じベクトルの大切な考え方です。
②は内部のメンバーがほとんど見ないものに力を入れるのか?という意図の質問です。
これらの指摘に共通して言えることは「参加者がいることを前提とした意見になっている」ということです。
音楽であれば「聴いてくれる人がいる」、製品であれば「使ってくれる人がいる」。だから大丈夫だろう。
その狭くなった視野と油断が、会社・バンド・コミュニティの衰退につながるきっかけになり得るのです。
古参は居心地がいいかもしれんけどね
音楽であれば固定ファンを、コミュニティであればメンバーを、一見ないがしろにしているように見えてしまうため、このような意見が生まれてくるのでしょう。「良いモノが売れるのではない、売れたモノが良いモノだ」という言葉が理解できないのも、同じ理由でしょう。
しかし、もうお客さんになってくれた人、これからのお客さんになってくれる人、どちらかではなく両方を大切にできるのは、リーダーであり運営をしている貴方しかいないのです。
良いコミュニティに人が集まるのではない、人が集まるコミュニティが良いコミュニティだ
自慢の手厚い対応や、完璧なルール・仕組みがあっても「参加希望者が増えない」のであれば、何かが間違っています。実はそれが過剰な対応・面倒なルールであり、悪手となっているかもしれません。
一方で、中身がシンプルでも「参加希望者が多い」のであれば、正しい選択が行われ、活動に魅力があり、その魅力が大勢に伝達され、良いコミュニティと言えるでしょう。サークルやコミュニティは、人が集まることで価値が生まれるという基本を忘れてはいけません。ニッチなコンセプトであれば、尚更、運営者はその価値の提供のために努力していきましょう。
ミュージシャンのぺつかずに今なら何て言う?
みんなが求めてる楽曲をまずは知って、それを表現できるようになろう!そのうえで、自分にしかない個性を上乗せしよう!それが食べていけるアーティストだよ!って。
おさらい
最後にもう一度、この言葉の意味をおさらいしておきましょう。
高品質であっても市場に受け入れられなければ成功とは言えない、逆に、市場で大きな売上を上げたものは、それだけで消費者にとって良いものと評価されるという意味です。